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  • 公共性を意識してほしい

    公共性を意識してほしい

    放送局トップの危機管理意識の欠如は深刻な問題であり、放送法の理念に立ち返り、公共性の高い事業者としての責任を強く自覚する必要があると思う。
    今回のフジテレビのケースは、放送事業者としての責任を果たしていないという点で、極めて遺憾と言わざるを得ない。放送法第1条には、「放送は、公共の福祉のために、あまねく国民に、最も良質の番組を提供することにより、健全な民主主義の発達に資するとともに、文化の向上に寄与するものとする」と明記されている。この条文は、放送事業者が単なる営利企業ではなく、公共性の高い事業者であることを示している。

    しかし、今回の港社長の対応は、この放送法の理念を踏みにじるものであったと言わざるを得ない。自局の看板番組のメインキャスターが重大な疑惑をかけられているにもかかわらず、「プライベートなこと」として説明責任を放棄したことは、視聴者に対する裏切り行為である1。

    総務省は、「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン」において、放送事業者に対して、適正な取引や就業環境の整備などを求めている。このガイドラインは、放送番組の質の向上と、放送業界全体の健全な発展を目指したものである。
    しかし、今回のフジテレビのケースは、このガイドラインの精神にも反するものであり、放送業界全体のイメージを損なうものとして、極めて深刻に受け止める必要があると思う。

    放送業界は今、大きな転換期を迎えている。インターネットや動画配信サービスの普及により、視聴者のメディア接触の選択肢は大きく広がっている。
    このような状況の中で、放送事業者が生き残っていくためには、公共性を意識し、信頼される質の高い番組を制作し、視聴者との信頼関係を構築していくことが不可欠だと思う。